冬暖かく・夏涼しい家をつくるために
こんにちは、アップルの野田です。
今回は、前回に引き続き冬暖かい家をつくる方法について話していきたいと思います。
冬暖かい家をつくるには、日射取得が重要と前回のブログで説明しました。
家は、高気密・高断熱にするだけでは、なかなか暖まりません。
エアコンなど、なにかしら熱源がないと勝手に部屋が暖まるようなことはないからです。
エアコンやストーブなどの暖房器具を使わずに家を暖めるには、太陽のエネルギーを家に入れることで、室内がだんだん暖まってきます。
日射(太陽のエネルギー)を取り入れたうえで、きちんと断熱・気密性能を高めれば、暖まった空気が外に逃げにくくなります。
これが、冬暖かい家をつくるための基本です。
太陽のエネルギーを室内に取り入れるには、窓を付けなければなりません。
断熱材だと太陽の熱を遮ってしまうためです。
ただし、適当に窓をつければいいわけでもなく、基本的には最も日照時間が長い南に大きな掃き出し窓をつけることが基本となります。
他の北、西、東はなるべく小さく、西側に関しては日差しが強いので、採光計算上可能であれば窓を付けないほうが良いです。
後ほどお話をしますが、弊社標準のYKK真空トリプルガラスは、グラスウール16Kに換算するとざっくり計算すると35mm程度になります。
壁には、105mm程度のグラスウールを施工したりしますので、その三分の一くらいしか断熱性能が無いことになります。
いくらトリプルガラスといえど断熱材と比べると断熱性能は低いので、
西面や日射取得ができない場所に大きなトリプルガラスを使用するのはNGです。
また、窓の種類によっても日射の取得量が変わってきます。
窓には、熱をカットする「日射遮蔽型」と熱を取り入れる「日射取得型」のガラスがあります。
太陽のエネルギーを取り込みたい南面などは、「日射取得型」で、そうで無いところは、「日射遮蔽型」など
窓の場所・大きさも大事ですが、ガラスの種類もきちんとしなければ日射取得の量が増えず、暖かい家にはなりません。
日射を取得したいのに、日射遮蔽をする窓をつけていては熱は入ってきません。
他にも、窓にはペアガラスとトリプルガラスの2種類あります。
ペアガラスはガラスが2枚、トリプルガラスはガラスが3枚という違いです。
名前から大体想像ができるかと思いますが、トリプルガラスの方が性能が良いです。
そのため、全てトリプルガラスにしたほうが良いと思われがちですが、
ガラスを3枚使っているので、日射取得量がペアガラスと比べて減ってしまいます。
なので、日射取得をしたい南はトリプルガラスではなく、ペアガラスがベストです。
そうすると、熱は入りやすくなりますが出やすくもなります。
しかし、これには対策法がありハニカムブラインドをつけるという方法です。
このブラインドは、ハニカム構造(正六角形が隙間なく並んだ構造)になっていて、そこに空気層ができます。
空気は断熱性能が良いです。
ですが、空気は動いていますので空気を静止することが出来れば断熱性能がアップします。
ハニカムブラインドを窓の枠にピッタリ収めることで、空気の層をつくり断熱性能をアップできます。
ペアガラスにハニカムブラインドをつけると、トリプルガラスと同等の性能になります。
天気・時間などにあわせて変化できるトリプルガラスといった感じです。
日射取得が期待できない夜や天気が悪い日にはブラインドを閉じトリプルガラスに。
晴れた日は、ブラインドを全開にして日射取得をする。
こういった感じで、ペアガラスの弱点を補います。
ここまで、窓の仕様的な部分についてお話をしました。
窓の種類や位置ももちろん大事ですが、他にもパッシブ設計では、プランニングも大事です。
冬暖かい家をつくるためには、日照時間が長い南に大きな引き違いをつけると言いましたが、
これは日射遮蔽が出来ている前提になります。
高気密・高断熱住宅は家全体の熱損失が少ないため、日射遮蔽をせず夏に南の大きな窓から太陽のエネルギーを取り入れると、
熱が逃げず室内が暑くなり続けます。
その結果、オーバーヒートしてしまい、エアコンをつけていても効かなくなってしまう可能性があります。
そのため、軒や庇を出し日射をカットするなどが必要です。
冬は、太陽高度が低いので軒や庇を出していても日射取得をすることが出来ます。
反対に、夏は太陽高度が高いため軒や庇で日射を遮ることが出来ます。
日射遮蔽だけの話をすれば、アウターシェードや外付けブラインド等も効果的です。
しかし、軒も単に長くすればいいというわけではありません。
敷地ごとに隣家の影・太陽の軌跡等を考慮した上で最適な軒の長さを検討する必要があります。
過剰に軒を出してしまえば日射取得をできませんし、軒が短すぎると夏の日射がダイレクトに入ってきます。
このような冬と夏の日射の入り具合を考えて調節するような設計は、パッシブを理解している設計士でないと難しいです。
パッシブ設計において、この太陽のエネルギーをコントロールすることはとても重要で、
窓の仕様(日射取得・遮蔽など)、断熱性能などはお金や知識があればどうにでもなりますが、
そもそも過度な日射遮蔽で冬に日射が入ってこなければ、窓を日射取得型のペアガラスにしたり南に大きな引き違いを数か所とる必要がありません。
冬の日射取得を期待できる敷地でも、設計士が仕様だけ日射取得型のペアガラスにして、日射をコントロールできなければ寒い家になる可能性があります。
なので上記で説明した窓の選定も、しっかり日射をコントロールが出来なければ成立しません。
日射のコントロールが出来て初めて窓の仕様がいきてきます。
ここまでは、冬の太陽のエネルギーを取り込める前提でお話をしましたが、そうでない敷地もあるので
日射取得が見込めない敷地についても話したいと思います。
三方住宅に囲まれているような敷地で、壁も隣家と近く冬に日射取得が見込めない場所では、
太陽のエネルギーを得ることが出来ないので、エアコンに頼るしかありません。
その場合、熱源がないのでなるべく熱損失を減らす方が良いです。
そうすると自ずと断熱を良くしたり、窓を全方位トリプルの日射遮蔽型にして窓はなるべく小さくするということになります。
日射遮蔽型の窓の方が断熱性能が良いためです。
このように、日射取得が期待できない土地では断熱を強化するほうが好ましいです。
ここまでパッシブ設計の基本について話しました。
今回パッシブ設計について説明したのは、主に冬暖かく経済的にランニングコストを抑えるためです。
パッシブ住宅であってもそうでなくても、夏は必ずエアコンが必要になるので、夏よりも高い冬の電気代を抑えるという考えになります。
太陽光や蓄電池などをつけて機械で省エネを実現することもよいですが、その分初期費用がかかります。
それも悪くありませんが、無料で使うことのできる太陽のエネルギーを活用した上で設置するのが経済的ではないでしょうか。
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